ボクシング独り言

語る相手がいないぼっちボクオタがボクサーやボクシングの試合について一人で語るブログです。

フロイド・メイウェザー 金の亡者と呼ばれた男が到達した一つの到達点

前回までのブログではメイウェザー選手のキャリアにおける前半期に焦点を絞って語りました。このころのメイウェザー選手は後半期と違い積極的かつより攻撃的なボクシングをしていましたが、このころのメイウェザー選手はまだ今ほどの知名度はありませんでした。もちろんボクシングファンの中では当時ロイ・ジョーンズに次ぐ評価を得ていました。ただやはり世界的に有名になったのは5階級目をとったデラホーヤ戦だと思います。あの試合でメイウェザー選手は人気面(アンチの数)と興行面でもトップに躍り出た印象です。ちょっとの時期の違いがあれどそのタイミングでメイウェザー選手がファイトスタイルをアグレッシブからディフェンシブに変えました。メイウェザー選手のその試合内容を退屈でつまらないという人が多く前のファイトスタイルが好きな人が多そうです。ただ僕個人的にはキャリア後半期か前半期で聞かれれば後半期の試合内が好きです。彼の試スタイルはアウトボクシングなのですが明らかにほかのアウトボクサーとは違う独創的なものだからでありオンリーワンなものに思えるからです。前置きが長くなりましたがそのメイウェザー選手のキャリア後半期のファイトスタイルについて語っていきます。

 

真のディフェンスとは相手にパンチを出させないこと

まず一番語りたいのがメイウェザー選手のディフェンスの能力です。メイウェザー選手のハイライト映像を見たことがあったりボクシングに詳しい方はもはや説明するまでもない卓越したディフェンス能力を持っています。L字ガードによる肩のいなしとブロッキング。背をロープにして相手のコンビネーションを受けているにも関わらずほとんど当てさせない。そのディフェンス技術は同じくディフェンスマスターと呼ばれるパーネル・ウィンテカーを引き合いに出されます。ただ僕はどちらも素晴らしいディフェンス技術を持っていますが両者のディフェンス技術は全く持って違うと思います。それは相手がパンチを打つことに制限をかけるか否かについてです。ウィンテカー選手はとにかく相手がどんなにプレスをかけてきてどのようなパンチを打ってきても絶対に顔に当てさせないようにかわしきってしまいます。対しメイウェザー選手はそもそも相手が打つ前に相手に反応しカウンターを合わせていきます。そのことによって相手は必然的にカウンターを合わされないようなパンチしか打てなくなり手数が減ります。当然メイウェザー選手は相手が打ってくるパンチも打ってこないパンチも見分けれているため最小限の動きで相手の動きを避けて有効打を当てることができます。これがメイウェザー選手が手数が少なくともRをとれる要因になっていると思います。そのため強いて言うならばウィンテカー選手は交わす能力に特化、メイウェザー選手は交わす能力もさることながらそもそも相手にパンチを出させない能力に特化しています。どちらのディフェンスもすごいとは思いますがよりRをとりやすいのは相手の手数を削ぐメイウェザー選手の方なのかなとは思います。

 

修正能力と学習能力の高さ

この点もメイウェザー選手の優れている点だと思います。メイウェザー選手のスタイルはアウトボクサーといいましたがほかのアウトボクサーのように12Rリング内をサークルするだけではありません。必要とあれば前に出てプレスをかけたりもできます。VSシェーン・モズリー戦にて2Rにモズリー選手の麦ストレートをもろに顎にもらってしまい過去最もメイウェザー選手が効いてしまう場面がありました。明らかにバランスを崩しもう一発もらったらもう倒れてしまいそうなぐらいぐらついていました。その後メイウェザー選手がパンチを出したタイミングで今度はテンプルにモズリー選手のフックが当たってしまいます。ダウンを奪えなかったもののこの2発でそのRをとるだけでなくその後の流れを決定づけるように思えました。個人的にモズリー選手のパンチを急所に2発もらっていて倒れないメイウェザー選手の耐久力はちょっとおかしいぐらいすごいなと感じましたね。もちろんほかにも打たれ強いボクサーはいますがこの打たれ強さに加えて上記にも述べたディフェンス能力が備わっている。全員が納得するかは置いといて彼が50戦で一度も取りこぼさない神髄のように思えます。

話を戻しましてキャリアで最もダメージを受けたメイウェザー選手ですがすごいのはこの後です。メイウェザー選手はその2R以降のファイトスタイルを変えL字ガードからハイガードに変え自らが前進し始めます。俗にいうファイタースタイルですね。おそらく本来のファイトプラントは1,2R見て違ったと思うのですがあの2Rからよりモズリー選手に効果的なものに変わりました。モズリー選手は遠い距離では2Rにメイウェザー選手をぐらつかせた踏み込んでの右ストレート。近場では3代目シュガーと呼ばれた所以ともなる高速の連打が出ます。メイウェザー選手はこのモズリー選手に対して前者のさえ対応すれば行けると思ってのでしょう。距離をつぶしストレートを出させない。かといって近距離になると危険な連打が出てきてしまう。そのため近距離になったら徹底的にクリンチを使いそこでも体力を削りフラストレーションを溜めさせる。そして圧倒的に優位に立てる中間距離でモズリー選手にその後のRを一切に取らせない。これをキャリア最大のピンチの次のRに行いその通りにしてしまう修正能力。口で言うと簡単に思えるかもしれませんが尋常ではありません。この修正能力と学習能力は特にPFPランカーの上位陣が持っているものかと思います。ロマチェンコ選手がリナレス選手との試合で2Rに肩のけがと6Rの人生初のダウンを食らうが、ここから父親の指示を受けてボディ狙いでフィニッシュする。井上選手がドネア選手相手に眼下底骨折のハンデを追ってのアウトポイント。コバレフ選手のクロスカウンターでダウンを奪われたウォード選手が2Rのダウンから巻き返して中盤以降コバレフ選手に食らいついた。またリマッチでは1戦目でつかんだ近距離の攻防で打ち勝ち勝利を収めた学習能力(賛否両論あれど)。ヘビー級なのでPFPとはちょっと違いますがワイルダー選手の号砲を食らって失神したように見えたヒューリー選手がその後立ち上がりカウンターをとってワイルダー選手を効かせ連打をまとめたところなど。このような修正能力と学習能力を持つボクサーは稀有なもののなかなか負けづらいものを持っているのかなと思います。アンディ・ルイス選手に1戦目で負けてしまったジョシュア選手はそこが足りなかったかなという印象です。

 

アウトボクサーの完成形?僕はちょっと違うと思います。

このメイウェザー選手のファイトスタイルをアウトボクシングと一般的に言いますし、僕自身もそう思っていました。ただ上記で説明したことがアウトボクサーの進化系といわれればそうは感じません。どちらかというとアウトボクサーの完成形は先ほど名前を出したウィンテカー選手のスタイルなのかなと思います。アウトボクサーの定義はロープ際をテリトリーとしてサークリングし、ビックパンチを狙うというより細かなパンチを当てていくイメージです。これは上記のメイウェザー選手のファイトスタイルとは似ても似つかない感じです。共通点は一般的に面白いといわれる試合ではないというところぐらいですかね。あと僕自身アウトボクシングはファイトスタイルとして難しいものと考えています。近代のボクシングにおいてよく目にするアウトボクサーですが追い足がなかったり体格的に劣ってる相手にアウトボクシングするのはやりやすいものではありますが、相手が言って数の追い足とフィジカル的な仇バンテージをとられると競り勝つのが難しい印象です。それだけ相手のプレスを12R受け続けて手を出し続け足を出し続けることはプレッシングファイターや追ってくるが側の負担とは違うものがありそうです。パっと思いつくのは井岡VSシントロンやグボジークVSべテルビエフだったり、最近の海外の好試合だとラミレスVSポストルなど。純粋なアウトボクサーが本当の意味でトップオブトップクラスになるにはウィンテカー選手の変態クラスのディフェンスにならないと難しいのかなと思います。天才ブローナー選手もメイウェザー選手のファイトスタイルを模倣している節がありますがやはりあのスタイルの模倣で超一流に勝つのは難しいと感じます。だからこそメイウェザー選手のあのファイトスタイルは唯一無二のスタイルであり誰も真似することができないものに思えます。そして賛否両論あるのは十分にわかりますが僕はこれもボクシングの一つの到達地点であると確信します。